14回の飛行試験でたどる Starship の進化
最初の飛行から軌道到達まで。Starship の14回の統合飛行試験を、公式の飛行記録にもとづいて整理し、何が変わり、何がまだ分からないのかを読み解きます。
公開日
The MuseumHall 01
完全再使用を目指す、超大型の2段式ロケット
巨大なブースターと宇宙船。そのすべてを繰り返し使うという構想は、ロケットの常識をどう変えるのか。機体の下から上へ、展示を順にたどります。
05 Stations · Updated 2026.09.30
01Overview
Starship は、SpaceX が開発している、機体全体の再使用を目指す超大型の2段式ロケットシステムです。
1段目の Super Heavy と、2段目の宇宙船 Starship の2つで構成されます。どちらの段にも Raptor エンジンが搭載され、推進剤には過冷却した液体メタンと液体酸素を使います。SpaceX は、完全再使用の構成で100トンを超える貨物を軌道へ運べるとしています。
2023年4月の最初の統合飛行試験から、試作と改良を短い周期で繰り返してきました。2026年には第3世代(V3)の機体に移行し、同年9月の飛行14で初めて軌道に到達して、Starlink の次世代衛星を投入しました。
FAQ — よくある質問
2026年9月30日時点では飛行試験の段階です。同年9月28日の飛行14で初めて軌道に到達し、Starlink の V3 衛星26基を投入しました。最新の状況は Starship ホールの「最新状況」と Launch Database で確認できます。
SpaceX は、メタンと酸素を将来火星で現地の資源から製造することを構想しています。詳しくは展示「Raptor」を参照してください。
02Anatomy
番号を選ぶと、その部分を解説する展示へ移動します。
03Size Comparison
東京タワーやジャンボジェットと、同じ縮尺で並べています。
出典:東京タワー:東京タワーについて(東京タワー公式サイト)/Starship:Starship(SpaceX 公式ページ)/Falcon Heavy:Falcon Heavy(SpaceX 公式ページ)/Falcon 9:Falcon 9(SpaceX 公式ページ)/ジャンボジェット:747-400 Airplane Characteristics for Airport Planning(Rev F, 2.2.1 General Dimensions)
04Station · Booster
1段目ブースター
Starship を宇宙へ押し上げる1段目。33基の Raptor エンジンを束ね、打ち上げ後は発射場へ戻ってきます。
機体の底には33基の Raptor エンジンが同心円状に並びます。中心寄りの13基は向きを変えて機体を操縦でき、外周の20基は周囲に固定されています。
上部には格子状のグリッドフィンがあり、帰還時の姿勢制御に使われます。着陸脚は持たず、発射塔のアームで受け止める方式で、2024年10月の飛行5で初めて捕獲に成功しました。
見るべきポイント
05Station · Engine
メタンエンジン
過冷却した液体メタンと液体酸素を燃やす、Starship の心臓部。両方の段に搭載されます。
燃料と酸化剤の両方をプリバーナーに通してタービンを回す「フルフロー二段燃焼サイクル」を採用しています。推進剤のエネルギーを効率よく使える一方、設計が難しい方式として知られています。
上段には、海面用の Raptor 3基に加えて、真空中で性能を発揮する大型ノズルの Raptor Vacuum 3基が搭載されます。V3 では改良型の Raptor 3 に切り替わり、推力が高まりました。メタンと酸素は、将来火星で現地の資源から製造することも構想されています。
見るべきポイント
06Station · Staging
段分離(ホットステージング)
上段のエンジンに点火しながら切り離す。加速を途切れさせないための分離方式です。
Starship は、2023年11月の飛行2から、上段のエンジンを点火した状態で下段から離れる「ホットステージング」を採用しています。
V2 までは、上段の排気を逃がす通気口付きのリングをブースター上部に取り付けていました。V3 ではこれを廃し、ブースターと一体化した構造に改められています。分離後、ブースターは向きを変えて帰還飛行に移ります。
見るべきポイント
07Station · Reentry
大気圏再突入と耐熱シールド
耐熱タイルの面を前に向けて大気に飛び込み、空気抵抗で減速する。宇宙船が「帰ってくる」ための設計です。
Starship は、六角形のセラミック製耐熱タイルで覆われた面を前に向けて大気に突入し、前後あわせて4枚のフラップを動かして姿勢を制御します。
着陸の直前には機体を立て直す「フリップ」とエンジン噴射を行って減速します。これまでの飛行試験では海上に着水しており、2026年9月の飛行14では、初めての軌道離脱噴射のあと、太平洋の予定海域に着水しました。
見るべきポイント
08Station · Catch
発射塔による捕獲
発射塔そのものが、帰ってきたブースターを受け止める。
発射塔には「チョップスティック」と呼ばれる2本の可動アームがあり、降下してきたブースターを空中で受け止めます。2024年10月の飛行5で初めて成功し、その後の飛行でも捕獲に成功しています。
発射台のすぐそばで回収することで、次の飛行までの準備を速めることが狙いです。宇宙船の捕獲は、今後の目標とされています。
見るべきポイント
09Flight Timeline
Starship は、試作と試験を短い周期で繰り返しながら開発されています。ここでは段階の流れを示し、個々の飛行記録は Launch Database から表示します。
試作と地上試験
ステンレス鋼製の試作機で、製造方法と構造を検証する段階。
上段の飛行試験
上段単体での上昇・姿勢反転・着陸を確かめる段階。
統合飛行試験
Super Heavy と Starship を組み合わせ、2023年4月の飛行1から段階的に飛行範囲を広げる段階。
回収と再使用
2024年10月にブースター捕獲、2025年5月にブースター再使用を実現。宇宙船の捕獲は今後の目標。
軌道と運用へ
2026年9月に初の軌道飛行。衛星打ち上げや、NASA アルテミス計画の有人月着陸機としての利用が計画されています。
Records — 打ち上げ記録
すべての記録 →10Live
最初の飛行から軌道到達まで。Starship の14回の統合飛行試験を、公式の飛行記録にもとづいて整理し、何が変わり、何がまだ分からないのかを読み解きます。
公開日
2026年9月28日、Starship の飛行14で宇宙船が初めて軌道に到達し、次世代の Starlink V3 衛星26基を投入しました。エンジンの一部停止を受け、軌道滞在は予防的に短縮されました。
公開日 更新
11Related Data
Total Launches(累計打ち上げ回数)
703回
2026.09.30 参照日 · 出典 SpaceX
SpaceX 公式サイトのカウンターが示す累計打ち上げ回数(うち Falcon 9 が688回、Falcon Heavy が13回)。集計範囲の詳細は公式サイトに明記されていません。
Starship Flight Tests(Starship 統合飛行試験)
14回
2026.09.28 飛行14の実施日 · 出典 SpaceX
Super Heavy と Starship を組み合わせた統合飛行試験の実施回数(2023年4月の飛行1から2026年9月の飛行14まで)。
Vehicle Data — Starship の主要諸元
数値スペックは、出典を確認したものから順次追加します。
SpaceX · 公式 · 一次情報 · 参照 2026.09.30
SpaceX · 公式 · 一次情報 · 参照 2026.09.30
SpaceX · 公式 · 一次情報 · 2023.11.18 · 参照 2026.09.30
SpaceX · 公式 · 一次情報 · 2024.10.13 · 参照 2026.09.30
SpaceX · 公式 · 一次情報 · 2026.09.28 · 参照 2026.09.30
SpaceX · 公式 · 一次情報 · 参照 2026.09.30
NASA · 宇宙機関 · 一次情報 · 参照 2026.09.30
Spaceflight Now · 報道 · 2019.07.26 · 参照 2026.09.30
Space.com · 報道 · 参照 2026.09.30