Crew-13 の打ち上げ、Dragon の酸化剤漏れで10月1日以降に延期
NASA は2026年8月29日、Dragon の推進系で酸化剤の漏れが見つかったため、Crew-13 の打ち上げ日を見直すと発表しました。新たな目標は10月1日以降です。
公開日 更新
SPACE DECODE 編集部What happened
何が起きたか
NASA は2026年8月29日、国際宇宙ステーションへ向かう Crew-13 の打ち上げ日を見直すと発表しました。打ち上げ前の通常の準備作業で、Dragon 宇宙船の推進系に酸化剤の漏れが見つかったためです。
When / Where
いつ・どこで
NASA が2026年8月29日に発表しました。打ち上げは米フロリダ州ケープカナベラル宇宙軍基地の SLC-40 から行われる予定です。
Key facts
確認できている事実
- 延期の理由は、Dragon の推進系での酸化剤の漏れです(NASA)。
- クルーは、ジェシカ・ワトキンス(コマンダー)、ルーク・デラニー(パイロット)、ジョシュア・クトリク(カナダ宇宙庁)、セルゲイ・テテリャトニコフ(ロスコスモス)の4人です(NASA)。
- SpaceX は酸化剤のバルブを交換しました(Spaceflight Now)。
- 当初の予定は9月12日で、新たな目標は米東部時間10月1日午前11時10分以降です(Spaceflight Now)。
- クルーは9月26日にフロリダ入りしました(Spaceflight Now)。
Why it matters
なぜ重要か
部品単位の漏れでも乗員交代の日程を数週間動かす判断は、有人飛行がどれだけ慎重に運用されているかを示しています(編集部の見方)。
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要点はここまでです。ここからは、仕組みや経緯、今後の見通しを掘り下げます。
01Dragon の推進系と「酸化剤」
ロケットエンジンや姿勢制御用のスラスター(小型噴射装置)は、燃料と、燃料を燃やすための酸化剤を組み合わせて推力を得ます。NASA の発表は、漏れが見つかったのが Dragon の推進系の酸化剤側だったことを示していますが、具体的にどの部品のどの部分だったかまでは明らかにしていません。
Spaceflight Now の2019年の報道によると、Dragon の緊急脱出用エンジン SuperDraco は、酸化剤の四酸化二窒素(NTO)とヒドラジン系の燃料を使います。今回の漏れについては、SpaceX が酸化剤のバルブを交換したと Spaceflight Now が伝えています。交換後の試験やデータ評価を経て、新しい打ち上げ日が決まりました。
022019年の地上試験事故という前例
酸化剤の漏れには前例があります。2019年4月、Dragon の試験機が SuperDraco の地上燃焼試験の直前に爆発しました。Spaceflight Now によると、逆流を防ぐ弁(逆止弁)から NTO が漏れて高圧ヘリウムの配管に入り込み、加圧の際にチタン製の弁が損傷して発火したことが原因とされました。
SpaceX はその後、問題の逆止弁を、一度だけ破れて流路を開く「バースト・ディスク」に置き換えたと報じられています。今回の漏れが2019年の事故と関係するという情報はありません。ただ、推進系の小さな漏れでも乗員の打ち上げを数週間止めて原因を確かめる判断の背景には、こうした経験があると考えられます(編集部の見方)。
03延期から打ち上げ直前まで
NASA は9月22日、新たな目標を米東部時間10月1日午前11時10分(日本時間10月2日午前0時10分)と発表しました。予定どおり打ち上げられれば、9時間足らずで国際宇宙ステーション(ISS)に到着し、東部時間午後8時ごろ、ハーモニー・モジュール前方のドッキングポートに結合する計画です。
9月25日には、NASA・SpaceX・国際パートナーが機体や運用、ISS 側の受け入れ態勢を確かめる飛行準備審査を行い、全員が「go」と判断しました。27日に Falcon 9 と Dragon が発射台に運ばれ、機体を固定したままエンジンを燃やす静的燃焼試験を実施。29日にはクルーが与圧服を着て宇宙船に乗り込む予行演習を終えています(NASA)。
04クルー、機体、そして交代の段取り
NASA によると、コマンダーのワトキンス飛行士は今回が2回目の宇宙飛行で、NASA の宇宙飛行士として初めて Dragon で2度打ち上げられることになります。ほかの3人は初飛行です。SpaceX によると、使う Dragon は2025年の Ax-4 ミッションで飛んだ機体で、Falcon 9 の1段目は Crew-12 などに続く3回目の飛行です。
現在 ISS に滞在する Crew-12(NASA のミーア、ハサウェイ両飛行士、ESA のアドノ飛行士、ロスコスモスのフェジャエフ飛行士)は、2026年2月13日に打ち上げられました。Crew-13 の到着後に短い引き継ぎを行い、天候を見ながらカリフォルニア沖への着水に向けて出発する予定です(NASA)。
9月30日時点で、漏れの根本原因や交換したバルブの詳しい位置は公表されていません。打ち上げ日は天候や機体の状態によってさらに動く可能性があり、Crew-12 の帰還日も確定していません。打ち上げの結果は Launch Database で更新します。
Context
背景
この記事は9月30日時点の情報です。打ち上げの結果は、実施後に Launch Database で更新します。Falcon 9 の初の有人飛行は2020年5月の Crew Demo-2 でした。
Sources / 出典
- 01Crew-13 Mission(外部サイト)
SpaceX · 公式 · 一次情報 · 参照 2026.09.30
- 02NASA, SpaceX Adjust Crew-13 Launch Date(外部サイト)
NASA · 宇宙機関 · 一次情報 · 2026.08.29 · 参照 2026.09.30
- 03NASA, SpaceX Move to Final Crew-13 Prelaunch Prep for Oct. 1 Liftoff(外部サイト)
NASA · 宇宙機関 · 一次情報 · 2026.09.22 · 参照 2026.09.30
- 04NASA, SpaceX Proceed Toward Crew-13 Launch(外部サイト)
NASA · 宇宙機関 · 一次情報 · 2026.09.25 · 参照 2026.09.30
- 05NASA's SpaceX Crew-13 Rocket Arrives at Launch Pad(外部サイト)
NASA · 宇宙機関 · 一次情報 · 2026.09.28 · 参照 2026.09.30
- 06NASA, SpaceX Complete Crew-13 Dry Dress Rehearsal(外部サイト)
NASA · 宇宙機関 · 一次情報 · 2026.09.29 · 参照 2026.09.30
- 07Station Nears Upcoming Crew Swap During Biomedicine, Cargo Duties(外部サイト)
NASA · 宇宙機関 · 一次情報 · 2026.09.22 · 参照 2026.09.30
- 08Next crew bound for the space station arrive in Florida(外部サイト)
Spaceflight Now · 報道 · 2026.09.26 · 参照 2026.09.30
- 09SpaceX points to leaky valve as culprit in Crew Dragon test accident(外部サイト)
Spaceflight Now · 報道 · 2019.07.15 · 参照 2026.09.30