Hall 04 · Starlink
Ground Infrastructure
地上インフラ
Starlink の地上インフラは、利用者が設置するアンテナと、衛星をインターネットにつなぐ地上局(ゲートウェイ)、そしてインターネットへの接続拠点(PoP)から成り立っています。
利用者のフェーズドアレイアンテナ、ゲートウェイ局、インターネット接続拠点(PoP)など、地上側の仕組みと日本での提供状況をまとめた展示です。
公開日
How it works
仕組み
通信の流れは、おおまかに「利用者のアンテナ → 衛星 → 地上局(ゲートウェイ) → 接続拠点(PoP) → インターネット」です。衛星はあくまで中継役で、インターネットそのものへの出入り口は地上にあります。近くに地上局がない場合は、衛星間レーザー通信で別の衛星へデータを受け渡し、地上局のある場所まで運びます。
利用者側のアンテナは、板状の本体に多数のアンテナ素子を並べた「電子式フェーズドアレイ」です。電波の向きを電子的に切り替えられるため、空を移動していく衛星を次々と追いかけられます。スタンダードキットの仕様書では、視野は110°で、向きの調整は「ソフトウェアの案内に従って手動で行う」方式とされています。
同じ仕様書によると、スタンダードのアンテナは質量約 2.9 kg、防水・防塵等級 IP67、動作温度は −30〜50°C で、1時間あたり最大 40 mm の降雪を溶かす機能を持ちます。消費電力は平均 75〜100 W です。アンテナは Wi-Fi ルーターにつながり、家庭内の機器はこのルーター経由でインターネットを使います。
地上局(ゲートウェイ)は、衛星と地上の光回線網を結ぶ施設です。衛星側では、地上局などとの中継(バックホール)に使うアンテナが、利用者向けとは別の周波数帯を使います。Starlink によると、現行衛星は Ka 帯・E 帯対応のアンテナを、V3 衛星は Ka・E・V・W の4帯域に対応するアンテナを備えています。
地上局に届いたデータは、地上の光回線を通ってインターネットへの接続拠点「PoP(Point of Presence)」に運ばれ、そこから一般のインターネットにつながります。Starlink の技術資料は、地上局から接続拠点までの距離や配置も通信の遅延に影響するとして、接続拠点の追加や地上局の配置の最適化を進めていると説明しています。
Why it matters
なぜ重要か
Starlink の技術資料によると、利用者と衛星のあいだを電波が往復する時間は通常 10 ms(ミリ秒)未満で、遅延の多くは地上側のネットワーク構成や混雑時の処理から生じます。つまり、利用者が体感する速さや遅延には、衛星だけでなく地上局や接続拠点の配置が大きく関わっています。
利用者のアンテナを自分で設置できることも重要です。光回線の工事が難しい山間部や離島、災害で地上の回線が途切れた地域でも、空が見える場所にアンテナを置けば接続できます。Starlink は、日本の台風や豪雪、地震といった条件でも使えるよう設計していると説明しています。
日本では2022年10月に個人向けサービスが始まり、アジアで最初の提供国になったと報じられています(Impress Watch)。それに先立つ2021年9月、KDDI は SpaceX と業務提携し、山口衛星通信センターに地上局を設けて技術検証を行い、au の基地局と通信網をつなぐ回線(バックホール)に Starlink を使う計画を発表しています。
Compared
他との違い
静止衛星を使う従来の衛星インターネットでは、パラボラアンテナを1機の衛星に固定して向けておけば通信できます。Starlink は空を移動する多数の衛星を相手にするため、電波の向きを電子的に切り替えられるフェーズドアレイアンテナが欠かせません。
光回線やケーブルテレビ回線は、利用者の建物まで物理的な線を引く必要があります。Starlink は、その「最後の区間」を電波と衛星で置き換える仕組みで、線を引くのが難しい場所ほど利点が大きくなります。一方で、地上局から先は結局地上の光回線に頼っており、衛星と地上の回線を組み合わせたシステムだといえます。
編集部の見方では、Starlink の性能を語るとき衛星の数ばかりが注目されがちですが、地上局や接続拠点の整備も同じくらい重要な要素だと考えられます。
FAQ
よくある質問
アンテナは自分で設置できますか?
はい。スタンダードキットには、アンテナ・スタンド・ケーブル・ルーター・電源が含まれ、空が開けた場所に置き、ソフトウェア(アプリ)の案内に従って向きを調整します。
日本にも地上局はありますか?
KDDI は2021年、山口衛星通信センターに Starlink の地上局を設けて技術検証を行うと発表しています。国内の地上局の数や所在地の最新情報は公式には一覧化されていないため、ここでは確認できた事例のみ紹介しています。
雨や雪の日でも使えますか?
Starlink は激しい降雨や強風、極端な気温でも利用できるよう設計していると説明しています。スタンダードのアンテナには、1時間あたり最大 40 mm の降雪を溶かす機能があります。
スマートフォンで直接つなぐこともできますか?
専用アンテナを使わずにスマートフォンと衛星を直接つなぐサービスは、別の仕組みとして「Starlink Mobile(旧 Direct to Cell)」の名称で携帯電話事業者と提携して提供されています。詳しくは Direct to Cell の展示をご覧ください。
Sources / 出典
- 01Starlink テクノロジー(外部サイト)
Starlink · 公式 · 一次情報 · 参照 2026.09.30
- 02Starlink バージョン3衛星(Starlink Updates)(外部サイト)
Starlink · 公式 · 一次情報 · 参照 2026.09.30
- 03Starlink 住宅向け(日本)(外部サイト)
Starlink · 公式 · 一次情報 · 参照 2026.09.30
- 04Starlink スタンダードキット仕様書(外部サイト)
Starlink · 技術資料 · 一次情報 · 参照 2026.09.30
- 05Starlink Latency(技術資料 PDF)(外部サイト)
Starlink · 技術資料 · 一次情報 · 参照 2026.09.30
- 06SpaceX の衛星ブロードバンド「Starlink」と業務提携(KDDI ニュースリリース)(外部サイト)
KDDI · 公式 · 2021.09.13 · 参照 2026.09.30
- 07スターリンク、日本でサービス開始。アジア初(Impress Watch)(外部サイト)
Impress Watch · 報道 · 2022.10.11 · 参照 2026.09.30
Floor Map
館内マップ
Hall 01
Starship
完全再使用をめざす次世代ロケット
Hall 02
Falcon
再使用ロケットの系譜
Hall 03
Dragon
人と物資を運ぶ宇宙船
Hall 04
Starlink
衛星インターネット
Hall 05
企業としての SpaceX
企業としてのSpaceX